業績の概況

2023年12月期業績について

当連結会計年度における当社グループに関連する市場につきましては、コンサート市場については新型コロナウイルスからの社会経済活動の正常化が進み、大型コンサートの開催数および動員数は増加傾向にあり、コロナ前の水準まで戻りつつあります。その一方で、不安定な世界情勢の長期化等による物価上昇が続くなどコンサート制作費の上昇が続いています。
メディア業界では多チャンネルサービス加入世帯は減少し続けているものの、OTTサービスなど新しいメディアの利用は増加しています。特に韓国コンテンツの人気は堅調で、新作のみならず旧作の視聴ニーズも高い状況が続いています。
このような経営環境の中、当社グループの当連結会計年度におきまして、エンターテインメント事業ではスタジアムやドームなどの大型公演を含む計128公演のコンサートを行い、本年度のKPIである約155万人の動員を達成しました。特に大きな公演としては、NCTグループ初となる全ユニットが出演するコンサートを味の素スタジアムとヤンマースタジアム長居で計4日間行い約22万人を動員しました。
ライツ&メディア事業では、ライツ事業においてはアーカイブ作品の販売を強化しており、特に上期には新規OTTサービスへの大型納品をした他、地上波およびBS・CS放送への版権販売も引き続き行いました。放送事業ではKNTVにてK-POPプレミアムコンテンツを計17作品放送し、KPIを超過達成しました。

この結果、当連結会計年度の売上高は8,910百万円(前年同期比25.9%増)、営業利益は181百万円(前年同期は381百万円の営業損失)、経常利益は191百万円(前年同期は366百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は261百万円(前年同期は303百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

セグメント別の業績は次のとおりであります。

(エンターテインメント事業)

コンサート事業においては、大型コンサートを含む128公演開催し、約155万人を動員しました。東方神起の全国ツアー、NCT初のスタジアムコンサート、aespaによるデビュー後最速東京ドーム公演を含む日本ツアー等、それぞれ20万以上を動員した超大型コンサートも開催しました。動員目標は達成したものの制作費の高騰によりコンサート事業の売上高は当初予想を下回りましたが、このような大型公演を開催したことによりMD販売が想定より好調に推移しました。
下期には日本テレビやHulu等で放送されたサバイバルオーディション番組からNCTの新ユニットとなるNCT WISHがプレデビューし、全国9都市24公演のファンイベントを行いました。彼らは2024年2月に正式デビューを発表しており、今後日本を中心に活動予定です。
MD事業では大型コンサートを多数開催したため、コンサートグッズの販売が好調に推移しました。他にもポップアップストアの展開や、アミューズメント専用景品の制作など、アーティストIPを活用しコンサートの開催有無に関わらず収益をあげられるビジネスも積極的に強化しています。
音楽事業では6タイトルの音源を発売しました。2月にはNCT DREAMの日本初となるシングル「Best Friend Ever」をリリースし、オリコン週間ランキング1位を獲得しました。その他には東方神起のシングル「PARALLEL PARALLEL」「Lime & Lemon」やCHEN(EXO)の1stミニアルバム「ポラリス」等を発売し、いずれもオリコン週間ランキングの上位を獲得しています。
音楽事業以外の活動におきましては、NCT 127の日本人メンバーYUTAがテレビ東京系ドラマ25「クールドジ男子」にて初主演を務めた他、NCT 127が大塚製薬「ボディメンテ」のCMに出演する等、積極的にメディアに露出する機会を増やしアーティストの認知度向上による新たなファン獲得に向け活動してまいりました。一方で弊社がマネジメントを行う他社アーティスト(俳優等)については、予定していたイベントの開催ができず当初売り上げ予想を下回りました。

この結果、売上高は6,330百万円(前年同期比70.5%増)、セグメント利益は541百万円(前年同期比635.2%増)となりました。

(ライツ&メディア事業)

ライツ事業では 、韓国作品の需要上昇による価格高騰が続いており新作獲得競争が激化していますが、「朝鮮弁護士(原題)」等の国内でもファン層の厚い新作時代劇ドラマや、SMアーティストが出演するバラエティ「aespaのSynk Road」等を獲得し販売しました。また当社が既に保有している多数のアーカイブ作品の販売を強化しており、収益に貢献しています。
上期においては新規OTTサービスに対して大型納品を行った他、下期では当社保有の「夫婦の世界(原題)」がフジテレビにて放送、「御史(オサ)とジョイ」がNHK BS等にて放送されました。その他の人気作品も地上波およびBS・CSチャンネルから多数放送されました。
メディア事業においては、グループシナジーを活用したK-POPプレミアムコンテンツの放送に注力し、KPIを上回る計17作品を放送しました。KNTVでは従来、韓国ドラマを中心に編成をしておりましたが、K-POPプレミアムコンテンツの放送によりドラマファンのみならずK-POPファンの新規獲得も図っています。12月には国内でも高い人気を誇る東方神起のデビュー20周年記念コンサートを生放送した他、韓国の年末授賞式も多数放送し、開局以来最高の加入者純増を記録しています。
しかしながら加入者数は月によって増減があり通年では当初予想を下回る結果となりました。来期においては多くの加入者純増が期待できるK-POPプレミアムコンテンツの編成をより強化してまいります。

この結果、売上高は2,579百万円(前年同期比23.2%減)、セグメント利益は328百万円(前年同期比121.0%)となりました。

(その他事業)

その他事業では、売上高0百万円(前年同期比91.2%減)セグメント損失31百万円(前年同期は41百万円の営業損失)となりました。

2024年12月期の見通しについて

次期における事業環境については、引き続き物価上昇の影響を受けざるを得ないものの、韓国コンテンツの人気は継続し、コンサート需要も依然高くコロナ前の水準まで回復するものと思われます。
エンターテインメント事業においては通期で165万人の動員を目標としており、第1四半期にはNCT127の東名阪ドームツアー、約1年半ぶりの開催となるSMTOWN LIVE(@東京ドーム)など、既に数件の大型コンサートの開催を発表しています。
ライツ&メディア事業においては、多チャンネルサービス加入世帯減少、韓国コンテンツの版権獲得競争が継続し厳しい状況であると予想されますが、韓国作品の人気は継続し当社が保有するアーカイブ作品の視聴需要も引き続き高いと期待されます。
このような状況の下、エンターテインメント事業ではコンサートの開催やグッズの販売等既存事業を強化することに加えて2組の新規アーティストの日本デビューを予定しています。
今期日本テレビ、Hulu等にて放送された番組からデビューが決まったNCT WISHは、2月に1stシングルの日韓同時リリースとともに、同月東京ドームで開催されるSMTOWN LIVEへの出演が確定しました。またRIIZEは日本デビュー前にもかかわらず、渋谷宮下パークで単独ポップアップストアを開催するなど高い注目を集めており、今後の活躍が期待されます。このようなSMグループIP以外にも、次期以降は日本オリジナル新規アーティストの発掘および育成に投資を行ってまいります。これまで多数の人気K-POPアーティストの国内マネジメントを担当してきた経験やSMグループ会社としてのバリューを活かし、当社ならではの新人発掘・トレーニングシステムの構築を進めています。そのため資金の投入は欠かせないものの、日本オリジナルIPを拡大していくことで当社エンターテインメント事業の収益性改善が期待されます。
ライツ&メディア事業におきましては、ライツ事業の新作獲得が厳しい状況が続いておりますが、国内でもファン層の厚い時代劇ドラマの獲得に取り組みつつ、アーカイブ作品の販売に注力してまいります。メディア事業では、加入者純増が期待できるK-POPプレミアムコンテンツを多数かつ定期的に放送することで、新規加入者の獲得と継続視聴の促進を図ってまいります。グループシナジーを活かした編成を行うことで、編成費用は抑えながらK-POPファンの獲得が期待できます。

以上を踏まえた24年12月期の業績につきましては、売上高9,138百万円(前期比2.5%増)、営業利益91百万円(前期比50.0%減)、経常利益94百万円(前期比50.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は61百万円(前期比76.7%減)を予定しております。