業績の概況

2022年12月期業績について

当連結会計年度におけるわが国経済は、度重なる新型コロナウイルス感染拡大の波も断続的に発生しておりますが、感染対策に万全を期し、経済活動の正常化も進み景気の持ち直しが期待されています。
ただし、世界的な金融引締め等が続き、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクとなっており、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社の事業領域でもあるエンターテインメント関連市場は、屋外でのマスク不着用や入国制限の緩和等、新型コロナウイルス感染症対策のための制限にも変化があり、エンターテインメント業界におきましては大型公演の開催も増加傾向にあります。
一方、メディア業界では多チャンネルサービス加入世帯減少、韓国コンテンツの人気沸騰による版権獲得競争の激化が続いているだけでなく、当連結会計年度では稀にみる円安が進んだ結果、版権価格はさらに高騰し、市場環境は厳しい状況にあります。
このような経営環境の中、当社グループの当連結会計年度におきまして、ライツ&メディア事業では、4月にライツ部門とメディア部門を統合し、業務効率化やシナジーの強化を図ると共にKNTVの加入者用冊子の廃止や、保有していた株式会社Beyond Live Corporationの株式37.5%の内32.5%を売却する等、2023年度通年での黒字化へ向け事業構造の大幅な見直しを2021年度に続き努めてまいりました。
エンターテインメント事業では、入国措置の緩和に伴いアーティストの来日障壁が軽減され、約2年ぶりとなるオフラインコンサートを4月より再開させました。
中でもNCT127はグループ初となる全国3都市5公演のドームツアーを行い約22万人を動員、また当社主催コンサートにおきましても最大規模を誇る「SMTOWN LIVE2022:SMCU EXPRESS @TOKYO」を約3年ぶりに東京ドームで開催し、3日間で約15万人を動員しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は7,078百万円(前年同期比25.7%増)、営業損失は381百万円(前年同期は648百万円の営業損失)、経常損失は366百万円(前年同期は632百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は303百万円(前年同期は286百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

セグメント別の業績は次のとおりであります。

(ライツ&メディア事業)

放送事業においては、グループシナジーを活用したプレミアムコンテンツの獲得を推進し、SM ENTERTAINMENT所属アーティストが一斉に会する「SMTOWN LIVE 2022:SMCU EXPRESS @HUMAN CITY_SUWON」や「SMTOWN LIVE2022:SMCU EXPRESS @TOKYO」をTV初放送し、年末恒例の韓国地上波による授賞式を生中継も含め5夜連続放送する等、バラエティ豊かな番組を編成し他チャンネルとの差別化を図ってまいりました。
大型イベントの中でも特に音楽関連のコンテンツは新規加入促進効果が高く、今後のチャンネル運営におきましても主要となる編成ジャンルの一つです。
一方、加入者用ガイド誌の完全WEB化、配信サービス「KNTV+」の計画の見直しを行う等、昨年に続き体制のスリム化を図り、より効率性の高い事業基盤の構築に注力してまいりました。
ライツ事業は、全世界的に韓国コンテンツが人気を博し脚光を浴びる機会が増加、国内でも高いニーズを維持しており、当連結会計年度におきましては、人気俳優出演作や大型時代劇等のドラマを始めグループ会社が制作しSM ENTERTAINMENTアーティストが出演するバラエティ番組を獲得しました。
一方、先述したとおり版権価格の高騰が続いている現在、為替動向を鑑みた収支計画の実施や営業努力による円安へのリスク対応のみならず、中華圏作品の獲得も推進し、事業領域を拡大した新たな事業戦略を取り入れております。
また、地上波・BS・CSへの放送権販売やVOD権の販売を行った一方、DVD市場が縮小傾向にあることから、DVDの制作及び販売という営業手法からサブライセンス販売へと営業方針を転換しリスクの軽減を図りながら事業展開を行ってまいります。
この結果、売上高は3,360百万円(前年同期比3.9%減)、セグメント利益は148百万円(前年同期比263.3%増)となりました。

(エンターテインメント事業)

コンサート事業は、2020年の株式会社SMEJとの合併によりキャッシュカウを担う予定でありましたが、新型コロナウイルス感染症により2021年度は開催数0回と多大な影響を受けておりました。
しかしながら、当連結累計会計年度では4月よりオフラインコンサートを再開させ、当連結会計年度では97公演およそ75万人を動員しました。
東方神起のファンクラブイベントツアー、NCT 127のドームツアー、「SMTOWN LIVE2022:SMCU EXPRESS @TOKYO」等、それぞれ動員が10万人を超える超大型コンサートも実施し、第4四半期におきましてはNCT DREAMが約2年半ぶりとなる日本ツアーを11月に計5公演開催、2023年2月には大阪にて初となるドームコンサートの追加公演も決定し、所属アーティストの日本活動も本格的に再開しています。
また、8月にはaespaの初来日ショーケースを始め、新人アーティストのデビューと認知拡大にも注力し、新たなファン層の獲得によるビジネスカバレッジの拡大も引き続き図ってまいります。
しかしながら、コンサート市場は復調基調ではありますが、公演数の急増に伴う人材不足や、世界的な物価高と円安による機材・経費等の価格高騰も生じています。
音楽事業では第3四半期までに5タイトルの音源を発売し、全作品5作品がオリコンランキング上位にランクインする等、人気を持続させております。
なお、第4四半期では12月15日にSuper Juniorが11枚となるアルバム「The Road:Celebration」をリリースしました。
音楽事業以外の活動におきましては、NCT127に所属する日本人メンバーYUTAの映画初出演や世界的ラグジュアリーブランド「Louis Vuitton」とのフレンドシップ契約、日本テレビとHuluで放送、配信されるNCTの地上波初冠番組「What’s NCT」の放送スタート等、認知度向上による新たなファン層獲得へ向け、音楽事業以外におきましても精力的に活動してまいりました。
第4四半期ではNCT DREAMが、11月の日本ツアーに合わせオリジナル飲食やグッズを展開するカフェ「NCT DREAM CAFE In A DREAM」を東京、大阪、愛知の3都市7会場にて期間限定オープンさせた他、NCTにおきましてはSANRIO CHARACTERSとフリューとのトリプルコラボレーションによるオリジナルグッズの販売を2023年1月よりスタートさせ、IPを活用した事業展開を来年度以降も加速させてまいります。
この結果、売上高は3,712百万円(前年同期比74.8%増)、セグメント利益は73百万円(前年同期は161百万円のセグメント損失)となりました。

(その他事業)

その他事業では、売上高は5百万円(前年同期比37.1%減)、セグメント損失は41百万円(前年同期は35百万円のセグメント損失)となりました。

2023年12月期の見通しについて

次期におけるわが国経済は、世界的な金融引締めやウクライナ情勢の長期化など、多様化した地政学リスクによる様々な影響が生じております一方、withコロナによる新しい生活様式の浸透も進み経済社会活動を継続していく中、景気の持ち直しが期待されています。
当社グループにおきましても、当面の間は円安による物価高や経費高騰の影響を受けざるを得ない状況が続くと予想されますが、上半期前半よりキャッシュカウ事業であるコンサート事業を精力的に展開してまいります。
国内での韓国コンテンツ需要は次期においても引き続き高い人気を維持し、視聴ニーズ沸騰や版権価格の高騰が予想される中、様々な映像プラットフォームで韓国コンテンツの放送・配信がなされる等、顧客の囲い込み競争は継続し熾烈な状態にあります。
また、当社放送事業が属する多チャンネル放送市場におきましては、規模縮小が進み継続して加入世帯数の減少が進むものと思われます。
このような状況の下、放送事業におきましては「KNTV+」をサービス品質は維持しつつもコストリダクションを実施し、より効率的な配信サービスにすべく見直しを図ります。
また、新規加入促進効果が高いライブコンテンツを充実させK-POPニーズを満たす編成に注力しチャンネルのプレミアム化を引き続き促進させ、多チャンネル市場減少の影響を限定的なものにするべく努めてまいります。
ライツ事業におきましては、韓国コンテンツの価格高騰や市場供給量の減少のみならず円安の影響を受け、市場環境は厳しい状態にあります。
2022年度に引き続き、為替動向を鑑みた収支計画の実施や営業努力のみならず、中華圏作品を獲得する等カバレッジを拡大し、リスク対応を行ってまいります。
また、グループ会社が制作したSM ENTERTAINMENT所属アーティスト出演の映像作品を獲得、販売、KNTVでの放送と、強力なIPを保有する当社グループとのシナジーを最大限に活用し事業を展開してまいります。
エンターテインメント事業におきましては、公演数の急増に伴う人材不足や、世界的な物価高と円安による機材・経費等の価格高騰、新型コロナウイルス感染症の対策等、コンサート市場はコロナ禍以前の状況とはなりませんが、復調基調にあり積極的なオフラインコンサートを実施してまいります。
2023年上半期では既に40公演以上を予定しており、aespaの日本初となるツアーを始め、東方神起やSuper Junior、NCT DREAMにおきましてはドーム公演を発表する等、大型オフラインコンサートも計画しております。2023年度は、2022年度の倍以上となる年間155万人以上の動員を目指しております。
併せて、オンラインでの同時配信、イベント協賛の獲得やツアーグッズの制作等、コンサート事業に付随するビジネスも強力なIPを十分に活用し、収益向上に最善を尽くしてまいります。
以上を踏まえた2023年12月期の業績につきましては、売上高9,273百万円(前期比31.0増)、営業利益84百万円(前期は営業損失381百万円)、経常利益88百万円(前期は経常損失366百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益70百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失303百万円)を予定しております。